溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
楓の発言に俺は口の端を上げた。

「そうさせてもらう」

本人の提案だし。

それにしても、キスをしてもこの反応。

逃げずに俺に怒るなら……悪くないな。

楓は動揺しているかもしれないが、気まずい空気になっていない。

この調子で俺に慣れさせるか。

フッと口元に笑みを浮かべたら、彼女は訝しげな視線を向けてきた。

「何笑ってるの?」

「何でもない。で、何作ってくれんの?」

エレベーターの扉が開き、楓の腕を掴んで降りると、鍵を開けて家の中に入る。

「冷凍食品をレンジでチンして食べれば?」

楓はギロリと俺を睨み、冷ややかに答えた。

「ふーん。それじゃあ、俺の飢えは満たされないな」

彼女を壁際に追い込み、ニヤリとする。

「仕方ないからお前を食べようか?」

楓の耳元で囁き、その首筋をペロリと舐めた。

「ギャッ!」
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