溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
その様子がおかしくて笑いながら訂正するも、楓は手を目に当てながら俺に文句を言った。

彼女の耳は真っ赤だ。

「もう!同居人がいるんだから、少しは気を遣ってよ!」

その慌てぶりが面白い。

これが姉貴だったら、じっくり値踏みするように見て、「もっと鍛えたら」と余計なことを言ってくる。

「兄貴がいるんだから、こんなの見慣れてるだろ?シャワー浴びて暑いんだよ」

冷蔵庫からペットボトルの水を取り出し、ゴクゴクと飲むと、口元を手で拭いながら言い訳した。

「見慣れてない!お兄ちゃんは絶対にそんな格好でうろつかなかった」

騒ぎ立てる楓に、皮肉を言う。

「それはたいそう品行方正なお兄様だな」

「とにかく何か着てよ〜!」

彼女は手で目を塞いだまま頼んでくる。

なんか座敷童の時と同じ怖がり方だな。

このままでは晩飯がいつになるかわからない。

やれやれ。

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