溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
「成瀬様ですね。お待ちしておりました」

にこやかな笑顔で店員が奥にある個室に俺達を案内する。

そこにはポールハンガーが置かれていて、タキシードと、カクテルドレスが四〜五着程置かれていた。

「まず彼女の服を合わせてみたいんだが」

店員にそうお願いすると、楓が声を潜めて聞いてきた。

「これは一体どういうこと?仕事サボってショッピング?」

「これも大事な仕事だ」

「仕事……ねえ」

疑いの眼差しを向ける彼女。

「時間がない。試着してこい」

そう言ってフィッティングルームを指差した。

「もう勝手だなあ」

楓はブツブツ文句を言いながらフィッティングルームの前へ行き、店員からドレスを受け取る。

近くの椅子に腰掛けると、スマホを見ながら彼女が出てくるのを待った。

二分経過。

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