溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
「ちゃんと見ないと合ってるかわからないだろ?これは、まあまあかな。じゃあ、次」

俺の言葉に彼女は「まだやるの〜」とぼやきながら戻った。

ホント、食べ物にはつられるくせに、ドレスや宝石には興味ないやつだな。

普通の女なら喜ぶこの着せ替えごっこも楓には苦痛に感じるのだろう。

三着目のドレスはアイボリーの上品で華やかなドレスで、一目見ていいと思った。

「それにする」

頰を緩めて即決すれば、楓は「よかった。また別の着なきゃいけないのかと思った」とグッタリと疲れたように言う。

それから服に合うバッグと靴を選ぶと、彼女は不安そうに俺に耳打ちした。

「ねえ、これってレンタルだよね?」

“買う”と言ったら反対しそうだな、こいつ。

「姉貴が手配してるから、俺は知らない」

そう惚けて、彼女の質問をかわした。
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