溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
遥に呼ばれてハッと我に返る。

「あっ、ごめん。ちょっとボーッとしてた。なんて言ったの?」

顔を上げ、彼の目を見て聞けば、彼はフッと笑みを浮かべた。

「迷子になるぞって」

「ああ。迷子になりそうだね」

どこかそわそわしながら生返事をしたら、彼に突っ込まれた。

「お前、緊張してないか?」

緊張……してるよ〜!

遥のせいでね……なんて言えず、よくわからない言い訳をした。

「ここ治外法権なんだもん。そりゃあ緊張するよ」

「何その変な理由」

プッと噴き出しながら、遥は私をエスコートして玄関に向かう。

すると、今夜の晩餐会の招待客らしき人影がいくつも見えた。

近づけば顔がはっきり見えてきて、自然と足がすくむ。

あれは総理大臣、あっちにいるのは有名な映画監督、それにそっちにいるのは自動車会社の社長、こっちはハリウッド俳優……とみんな著名人ばかり。
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