溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
この場所に呼ばれた遥って凄い。

私、明らかに場違いだよ。

来たばかりなのに回れ右をして帰りたい。

「遥、帰っちゃダメ?」

この期に及んでそんなお願いをしたら、遥が私の頰に手を添えた。

「怖気付くなよ。せっかく綺麗にしてもらったのに」

彼は意地悪なことは言わず、そう私を勇気付けると、身を屈めて私の額にチュッとキスをした。

「大丈夫、俺がいる」

優しい目で私をじっと見つめる彼。

「は、は、遥〜!恥ずかしいことしないでよ」

一瞬にして顔が火照る。

ドギマギしながら抗議したら、遥は悪びれた様子も見せずに笑っていた。

「ここは日本であって日本じゃない。お前も楽しめよ」

とてもじゃないけど、招待客のメンツ見たら、そんなお気楽に考えられない。

今のキス見られてないよね?

人目を気にするも、周囲の人は和やかに歓談している。
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