溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
入り口で記帳を済ませ、人の流れに沿って歩くが、数歩進めば、誰かが遥を呼び止めた。

「やあ、遥君、久しぶりだな。お祖父様は元気にしておられるかね?」

今話しかけてきたのは総理大臣だが、遥は爽やかな笑みを浮かべ応対。

「おじさん、ご無沙汰しています。祖父は元気にしてますよ。隠遁生活も楽しんでいて、今はネット将棋にはまっています」

そういえば、遥のお祖父様は元総理大臣だった。

マスコミがいたら是非撮りたいツーショットだろうな。
「そちらの綺麗なお嬢さんは?」

総理大臣が私に目を向けると、遥は満面の笑顔で私を紹介した。

「僕の婚約者ですよ」

目は総理を見ているが、遥は”挨拶しろ”と私の腕を軽くトンと叩く。

どこか夢心地の私は、何も考えずに彼の指示に従った。

「はじめまして。水無月楓と申します。お目にかかれて光栄です」
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