溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
ニコリと微笑んで挨拶するが、顔が引きつりそうだった。

総理に嘘つく……って私達、かなり大胆なことしてるんじゃあ。

後ろめたさを感じていたら、さらに驚愕する対面が……。

「あら、遥。もう来てたのね。そちらが楓ちゃん?」

綺麗な声をしたその女性は、四十代くらいの和服姿の美人。

可憐さんに似ている。

若く見えるけどひょっとして……。

「そう。楓、俺の母だ」

遥は私の腰に回した手に力を込める。

やっぱりそうなの〜⁉︎

しかも、総理と今話してるのは、遥のお父様だよね?

顔が遥に似ててダンディーなおじさま……いや、遥がお父様に似てるのか。

ううん、そんなことはどうでもいい。

彼のご両親の前で婚約者を演じる心の準備が全く出来ていないんですけど〜。

ようやく現実を認識した私。

心臓がバクバクしてきておかしくなりそう。

「楓?」
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