溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない

いつも何事にも動じない姉だが、流石に今回は俺達の事を心配したらしい。

気丈にしていたが、声が少し震えていた。

アメリカ大統領の首席補佐官との話では、事件は大統領暗殺を企てたもので、SP一名と大使館職員一名が死亡、負傷者は俺を含めて二十名程らしい。

今年の四月に中東の産油国、ザバヴィ王国が隣国のラディブに侵攻。

アメリカとイギリスが制裁措置として空爆を一週間前に行ったが、ザバヴィの国王はそれを逆恨みして今回の事件を起こしたらしい。

楓に怪我がなくて本当に良かった。

俺の両親も公邸を出た後だったし、身内が無事でホッとせずにはいられない。

晩餐会に楓を連れて来たのは、公の場に慣れさせるのと、俺の両親に会わせるのが目的だった。

まさかあんな事件が起こるなんて予想だにしなかったが。