溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
事件のショックがきっと後になってきたのだ。

楓に『今夜は特別だ』と言って酒を飲ませたが、それでも彼女はどこか不安そうな顔をして俺の胸に身を預けた。

彼女が俺にそんな風に甘えてきたのは初めてで、少し驚いた俺。

だが、その不安を取り除いてやりたくて、身体を密着させるように楓を膝に乗せた。

『遥が……生きててよかった』

彼女が自分の感情を吐露した。

安心と不安……相反する気持ちがごちゃ混ぜになったようなその声が胸に響いて……。

『俺も楓が無事で良かった』

俺も彼女の頭を撫で、心から告げた。

でも、お互い言葉だけじゃ足りなかったし、服から伝わる温もりだけでは完全に安心することなんて出来なかった。

触れたくて、触れたくて……そんな衝動にかられたのは、二度目だ。

一度目は初めて彼女を抱いた時。


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