溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
残業を終え、彼の体調が心配で思い切ってアパートに来てみたのだけど……。

三月下旬の最後の金曜日、彼氏に浮気されました。

私は水無月楓、二十八歳。

大手家電メーカー『シュテルン』に勤めるOL 。

背は百六十センチ、顔は美人の母に似たのか目が二重で唇はふっくら。

それで、男を誘っていると誤解されるから、普段化粧は控え目にして、長い黒髪も後ろでひとつに束ねている。

『シュテルン』は日本で三本の指に入る大企業。

国内外には五十近い支社と関連企業や研究所があり、総従業員数は三万を超える。

その日本橋にある本社の総務部で主任をしている私。

彼は同じ本社の企画室にいるふたつ上の先輩で、佐倉誠。

普段はメガネをかけていて前髪も上げているのだけど、今……彼の髪は乱れ、メガネもベッドサイドのテーブルの上。
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