溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
昨日のショックがまだ後を引いていないかと心配だったが、元気そうで安心した。



「海鮮、豚キムチ、海鮮ネギ焼きに生ふたつとジンジャーエールひとつお願いします!」

俺の向かい側の席にいる楓が、嬉々とした顔で店員に注文を頼む。

「お前、そのオーダー、高校の卒業式の時も同じじゃなかったか?」

ククッと笑いながら突っ込めば、楓の横に座っている修也がニコリと頷いた。

「確かに」

修也は俺の親友であり、学生時代は良きライバルでもあった男。

サラサラの黒髪。目は切れ長で鼻筋が通っていて若いのにどこかの家元のような落ち着いた風格。

背は百八十くらいで、高校時代は弓道部の主将を務め、インターハイでも優勝。

頭も良く、研究者の道に進みながら楓を支えた彼を俺は尊敬している。
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