溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
「はい。心配かけちゃってごめんなさい」

楓はしゅんとなって謝る。

以前はよく見慣れた光景。

でも、今はそんなふたりを見ていると、少し妬けてくる。

母親は他界しているし、父親は海外で働いていることもあって、この兄妹の絆は強い。

「まあ、その辺でいいんじゃないか?注文したのが来たぞ」

ボウルを運んで来た店員を顎でクイッと示す。

「やった〜!待ってました!」

楓がパチパチと手を叩き、目を輝かせた。

三人がそれぞれのボウルの具材をかき混ぜる。

油を引いてまずは楓と修也のふた玉を焼いていく。

「後は、お兄ちゃんと遥に任せる」

楓は壁に寄りかかり、フフッと笑う。

「お前、そこは”私に任せて”くらい言ったら?」

目を細めて言えば、彼女は明るく笑って言い訳した。

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