溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
楓がじっとりと俺達を見ると、修也が優しく微笑みながら謝った。

「ごめん、ごめん。断れないムードになっちゃってね」

「俺も修也も被害者だぞ」

そう主張すれば、楓はスーッと目を細めた。

「遥は楽しそうにしてたじゃない」

なぜ『遥は』と強調してくる?

「ムッツリしてたら空気悪くなるだろ?」

穏やかな声で弁解するも、彼女は疑いの眼差しを向けてくる。

「どうだか?」

「楓、何ムキになってんの?遥が女性の前で紳士的なのはいつものことじゃないか」

修也が彼女をなだめながら、俺に対してサラッと毒を吐く。

だから、俺もやり返した。

「人のこと言えるか?お前は高校の時、美人の養護教諭と保健室にしけこんでただろ?この年上キラーめ」

俺の暴露話に楓は軽蔑の目で修也を見る。

「お兄ちゃん、そんなことしてたの?」
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