溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない

そんな俺達の様子をじっと見ていた修也。

だが、そのことについては何も言わず、イギリスでの生活について楓に話して聞かせた。

最後は俺と修也の大学時代の話で盛り上がったが、彼女があまり食べてないのが気になった。

修也も同じことを思ったようで楓に尋ねる。

「楓、そんなに食べてないよね？」

「うーん。なんか久々にお兄ちゃんに会ったら嬉しくて胸がいっぱいになっちゃって。それに、炭酸飲み過ぎたみたい」

彼女は笑いながらお腹をさすった。

「ならいいけど、体調悪い時は倒れる前に言うんだよ」

修也が優しく言うと、楓は急に真面目な顔になってビシッと敬礼した。

「はい、肝に銘じます！」

「お前……俺への態度と違うだろ。やっぱ修也だと素直に従うのな」

頬杖をついて楓に目を向ければ、彼女は弾けるように笑った。