溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
「そりゃあ、お兄ちゃんと遥は違いますからね」

「へいへい」

わずと拗ねたフリをすると、修也に慰められた。

「兄っていろいろ大変なんだよ。いいお手本を示さなきゃいけないからね」

「じゃあ、遥は悪いお手本だね」

楓が調子に乗ってふざける。

「お前、後で覚えてろよ」

悪魔のようにニヤリとすれば、彼女はわざと震え上がり、修也に抱きついた。

「お兄ちゃん、遥がいじめるよ」

「はいはい。大丈夫。遥が悪さしたら、俺が容赦しないから」

楓の頭を撫でながら、修也が穏やかに言う。

だが、その目が俺を見てキラリと光った。

殺気が漲ってないか?

妹を守るお兄ちゃんは怖いねえ。

だが、楓はもう俺のだ。

平常心ではいられない。

兄と妹なのに、胸の中に湧き上がるドス黒い感情。

そんな風に楓に触れられると苛立つ。
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