溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
『俺に絶対に惚れないこと』って言われた時はムカついた。

本当に遥のことを好きになるなんて思ってなかったもん。

彼に惚れてしまった場合、保証人の話はご破算で私に消えろってことかな。

どこへ行ったらいい?

また兄に頼るの?

でも、それだと一生兄のお荷物になりそうだ。

結局、自分で自分の首を絞めている。

「楓さん、ここ出ましょうか?」

翔太君に声をかけられ、「ん?あっ、そうだね」と咄嗟に笑顔を取り繕った。

いけない。

今は考えるな。

悩んだらまた倒れるかもしれない。

自分の体調がおかしいことを感じながら店を出ると、珠子さんが「私、そこのドラッグストアで胃薬買ってくるわ」とバタバタと走って行った。

呆気に取られる翔太君と私。

「珠子さん、食べ過ぎなんですよね。ホント病気にならなきゃいいけど」
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