溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
その彼が避妊を忘れるなんてありえない。

子供が出来たら責任を取らなければいけないから。

でも、最初に寝た時も、こないだの夜も、彼は避妊具つけたっけ?

ああ〜、全然思い出せない。

二回とも私は切羽詰まってて、何も冷静に考えられなかった。

でも、そんなの万が一妊娠してたら、言い訳にならない。

避妊してたって妊娠する可能性はあるわけで……。

最初からその覚悟をしろってことだよね。

もし妊娠していたらどうしよう?

遥に伝える?

それとも……何も言わずに彼の前から消える?

遥はお昼から名古屋に出張に行っていて、帰るのは午後八時過ぎの予定だ。

「もしおめでたなら、遥さん喜ぶだろうね」

珠子さんはにこやかに笑う。

彼女は私のことを彼の婚約者だと本当に思っている。

その言葉が胸に痛かった。

遥が喜ぶわけがない。
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