溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
「え?なんで?」

思わず聞き返したら、翔太君は指でペンをクルクル回しながら告げた。

「遥さんから言われてるんです。『楓さんがハイテンションで仕事をしている時は要注意だ』って」

遥……何なのその命令。

もう保護者面しないでよ。

「不服そうな顔してますね。道で倒れられても困るんで、ちゃんと乗って帰って下さい。じゃあ、また明日」

翔太君は素っ気なく言って自分の仕事に戻る。

でも、それも彼の優しさだと今はわかる。

『じゃあ、また明日』と翔太君は言った。

明日が来るのかな?

心の中は不安で一杯だった。

翔太君の好意に甘えてタクシーで遥のマンションに帰ると、バッグを玄関に置いたまま珠子さんにもらった検査薬を持ってトイレに駆け込んだ。

中の説明書に何度も目を通すと、入っていたスティックで検査してみる。


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