溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
運命の瞬間だ。

スティックをじっと眺めて待つこと一分。

ピンクの線がはっきりと出た。

たった一本の線なのに、それを見た途端大きな闇の中に落とされたような気がした。

病院で診てもらわないと正確にはわからないが、妊娠しているかもしれない。

「私のお腹に……遥の赤ちゃんがいる?」

しばらく呆然としてしまってトイレから出られなかった。

どうしよう〜。

あんなに優しくしてもらったのに、遥に迷惑かけちゃう。

彼にこのことを告げたら、きっと困った顔をするだろうな。

ここにいたらもうすぐ遥が帰ってくる。

顔を合わせたら泣いてしまうかも。

ここにいちゃいけない。

ああ〜、私……どうしたらいい?

お腹に手を当て考える。

もうひとりの身体じゃないなら、勝手に判断しちゃダメだ!

ひとりでまともな判断なんて出来ない。
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