溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
14、誰にも譲れない ー遥side
「意外に早く終わったな」

名古屋での商談を終えて、東京行きの新幹線に乗っていたら、座席のテーブルに置いておいたスマホがブルブルと震えた。

画面を見れば翔太からの着信。

移動中にかけてくるなんて珍しい。

何かあったのだろうか?

スマホを手にし、デッキへ出る。

「どうした?」

画面をタッチして電話に出れば、翔太が『今、大丈夫ですか?』と確認してきた。

「大丈夫だ。で?」

何があったか知りたくて先を促す。

『今日の楓さんの様子が気になって。ランチの時もほとんど食べませんでしたし、午後はやたらと張り切って仕事をしてて』

「ランチも食べなかったか」

ハーッと溜め息交じりに言う。

昨日修也と食事をした時も、今朝も、彼女は食事を残している。

『ランチだけじゃないんですね?』

翔太の問いにゆっくりと頷いて答える。
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