溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
「ああ。昨日の夜ぐらいからあまり食べないんだ」

『あの事件のショックのせいとか?』

「それもあるかもしれないが、いろいろとあり過ぎて断定出来ない」

環境が変わって自分でも気づかないうちにストレスを感じているのか、それとも……。

『理由はわかりませんが、側で見ていて痛々しいくらい明るくしていましたよ。定時で帰しましたが、気をつけてあげて下さい。じゃあ』

翔太が電話を切り、自分の席に戻った。

新幹線が東京に着くと、タクシーで家に戻る。

だが、玄関のドアを開けたら、楓の靴はなかった。

電気はつけっ放し。

普通なら何か近くのコンビニにでも買い物に行ったかと思うのだが、翔太の電話の件もあり、妙な胸騒ぎがした。

とりあえず靴を脱いで上がり廊下を進むと、トイレの前に紙袋と小さな箱、それにスティックが散乱していて、ここにいない理由がわかった。


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