溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
「プライドの高いお前には出来ないだろう?俺に向かって土下座なんて」

彼はそう続けて冷ややかな目で俺を見た。

こいつは俺を試してる。

以前の俺ならやらなかっただろう。

だが、今は違う。

楓のためなら、プライドなんていつだって捨ててやる。

椅子から立つと、修也の前でしゃがみ、土下座をした。

周囲の視線は気にならなかった。

他人がどう思うと関係ない。

大事なのは彼女だ。

そのためならなんだってする。

「俺に楓をくれ。彼女に会わせてくれ」

ずっと頭を下げたまま彼に頼む。

一分くらいそうしていただろうか?

「もういいよ」と溜め息交じりの修也の声がした。

顔を上げると、彼があるものを俺に差し出している。

それは、ホテルの部屋のカードキー。

「楓と話をしてさっさと連れて帰れば?俺はもう少し飲んでいく。今夜はヤケ酒だ」
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