溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
15、彼との未来
『だから、お前が自分を好きになるようにあいつはわざとそう言ったんだ』

兄の言葉についてずっと考えていた。

遥も私のことを好きってこと?

それは、自分では考えてもみなかった展開で、私の人生に一筋の光が見えてくる。

兄の慰めではなく、それが本当ならどんなにいいだろう。

今、私は兄が宿泊している部屋にひとり。

兄はこのホテルのバーで遥と会っている。

一体ふたりはどんな話をしているのか?

部屋の中は静かなのに、そわそわして落ち着かない。

窓際に置いてある椅子に腰掛け、テーブルに片肘をついて窓から見える夜の庭園を眺めていたら、ガチャッとドアが開く音がした。

「お兄ちゃん」

てっきり兄かと思って振り返れば、そこにいたのは遥で、身体が強張る。

……彼がひとりでこの部屋に来るなんて予想していなかった。

< 250 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop