溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
ひとりで何とかしなければと、保証人不要のマンスリーマンションも探してみたけど、家賃が月十万前後と割高だった。

失業したらますますアパート探しなんて難しくなる。

保証人のことは後で考えよう。

そう思って、職探しとアパート探しを頑張ったのだが、四月という時期が悪かったのか、いい仕事もいいアパートもなかなか見つからない。

今日は埼京線の沿線の埼玉の物件を見てきた。でも、全く知らない土地だし、駅から二十分もかかる。

寮に戻れば、身体はクタクタだった。

お風呂を沸かす元気もなければ、食欲もない。

ドサッとベッドに横になると、スマホが鳴った。

画面を見れば兄からで、スマホを操作して電話に出る。

「お兄ちゃん、どうしたの?平日に電話なんて珍しいね」

『楓の会社がニュースになってて心配になってね』

ほら、離れていても私のことを心配してこうして電話をかけてくる。父とは大違いだ。
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