溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
そんな私の疑問に答えるかのように、兄は説明する。

『遥が教えてくれた。楓、苦しい時ほど強がるのはよそうね』

「は……遥が私のことを?何で?」

あまりに動揺して声がなかなか出なかった。

『さあ?理由はお前が一番よくわかっているんじゃないの?』

その声音は穏やかだけど、明らかに私と遥の間に何かあったと疑ってる。

遥がお兄ちゃんに私と寝た……なんてバラすとは思えない。

そこまで馬鹿で空気の読めない男じゃないはず。

だったらどうして私に構うのよ?

遥は去る者は追わずタイプの男だ。

それに、私なんかに執着しないはず。

顔はイケメンだし、金も地位もあって女なんてよりどりみどり。

あの夜だって、私にお願いされて仕方なく抱いたのだ。

抱く予定だった女性を帰してしまったから、私はその人の代わりだったのかもしれない。
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