溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
お兄ちゃんに「遥と寝たよ」なんて言うと思った?

それとも、このタイミングでかかってくるってことは、私が失業するって話?

遥が出てきたら、余計問題が複雑になる。

ベッドサイドにあるフォトフレームにちらりと目をやる。

そこに映ってるのは兄と遥と私の三人。

兄が渡英する直前に撮ったものだ。

遥が馴れ馴れしく私の肩に触れていて私が彼を睨みつけて、そんな私達を兄が笑顔で見ているという普段の三人の日常が凝縮された写真。

「お願いだから、私のことは放っておいて」

写真の中の遥に向かって言うと、パタンとフレームを倒して見えなくした。

でも、頭の中の彼はなかなか消えてくれない。

その夜は悶々と遥のことを考えて、そのまま疲れて寝てしまった。

それから、毎日のように遥から電話がかかってきたけど、全部無視した。

職探しは相変わらずだし、アパートも見つからない。
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