溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
そう自分に言い聞かせるも、今後のことを考えると気が滅入ってしまい眠れなかった。

来月、私はどこにいるのだろう。

もう私の居場所なんてないのかもしれない。

不安しかもう頭に浮かばなくなっていた。

熱はないが身体がふらふらする。

次の朝なんとか出勤するも、頭がボーッとして目が霞んだ。

午前は無事に仕事を終えたが、もう立つのも辛い。

マズイ……な。

「私、これから佐倉さんと一緒にランチなんですよ」

席から立ち上がると、悪びれた様子もなく自慢気に話す渡辺さん。

「……そう」

興味なんてなかった。

虚ろな目で返すが、彼女は私の反応が気に入らなかったのか、まだ私の側にいる。

「佐倉さんは私のものですから、もう会わないで下さいね。仕事で会うことももうないでしょうし」

フフッと意地悪く笑う彼女。
< 36 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop