溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
昔から修也とは仲が良くて、よく互いの家を行き来していた。

修也の家に行くと、そこには必ず楓がいて一緒に遊んだり、勉強を教えてやったりした。

俺には姉と弟はいるが、妹はいなかったから楓が可愛かったんだ。

修也をすごく慕っていて、自分もこんなちっこくて愛らしい妹が欲しかったと学生の時は思っていた。

あの日、俺には妹同然だった彼女が、突然女に見えた。

彼女と会うのは、去年の九月にイギリスに向かう修也を空港に見送りに行って以来。

楓の裸を見たから女として意識した訳じゃない。

バーにいた時から彼女の周りだけが空気が違ってて、妙に惹きつけられた。

様子がおかしくて、放っておけなかったのもあったが、彼女から目が離せなかったんだ。

ガラス細工のように繊細で美しくて、触れたら壊れそうで……。
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