溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
「楓の会社が今ヤバイことになっているのは、そっちでもニュースになっているだろう?多額の負債を抱えて大規模なリストラを行うって」

平静を装って話を切り出すと、修也は急に真剣な声になった。

『その件については、これから楓に電話するつもりでいた』

実の父親よりも楓の父親らしい彼。

彼女のことが心配でならないのだろう。

俺も楓のことが気がかりで、興信所に彼女の調査を依頼した。

「俺が調べさせたところでは、今月末でクビを切られ、寮も退所させられるらしい。希望退職者って名目でな。楓から聞いてないか?」

俺の話がショックだったのか、少し間があった。

『……いいや。楓の性格からすると、自分からは言わない。すぐにでも日本に戻りたいが……』

修也は悩ましげに呟く。

「お前は研究開発の責任者だろう?戻るなんて考えるな。ここは俺に任せろ」
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