溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
そんな楓を側にいた男性社員と女性社員は呆然と見ていた。

ボーッと突っ立って見てるだけかよ。

苛立ちを感じながら、案内してくれた秘書に声をかける。

「救急車呼んで下さい!」

ただの貧血ではないと思い、救急車で俺の知人が勤務している大学病院へ楓を運んだ。

念のため全身の検査をしてもらった結果、医師には過労と栄養失調だと告げられた。

そして、今、楓は病室で点滴を受けている。

会社に電話をかけると、また彼女に付き添った。

「お前、かなり痩せたな」

楓の寝顔を見ながら呟く。

この飽食の時代に栄養失調ってなんだよ。

リストラされた上に住むところも失うことになり、おまけに俺なんかと寝て、ひとりで悩んで苦しかったのだろう。

今こいつの側にいられるのは俺しかいない。

こいつを苦境から救い出せるのも俺だけだ。


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