溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
そんな私の胸の内を知ってか知らずか、遥は普段と変わらない様子で俺様発言をした。

「そう。お前は居候ってことになるな。俺のことをご主人様って呼んでもいい」

嫌味ったらしく言うので、ムカついた。

「誰が呼ぶもんですか!帰る」

くるりと踵を返す私の肩をすかさず遥が掴む。

「帰るってどこに?」

「寮よ」

間髪入れずに当然のように答えた。

「お前の荷物はもうここにあるけど」

遥は玄関から一番近くにあるドアを開けると、しれっとした顔で言う。

そこには、有名な引っ越し業者の名前が書いてある段ボールが五箱積み上げられていた。

それを見て呆気に取られる私。

「……いつの間に?」

「今日が退去日だろう?お前が入院して動けないから、引越し業者に俺が依頼しておいた。『楽々お任せパック』でな。感謝しろよ」

遥は恩きせがましく言う。
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