溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
「だからって相談もなく引越し業者に頼むなんて酷い!だいたい鍵はどうしたのよ?」

「俺の名刺渡して管理人にお前の婚約者だって説明したらすんなり開けてくれた。お前の貴重品は俺が預かってるから安心しろ」

遥は有名企業の社長だし、経済誌の表紙になったり、テレビにも出ていて世間にその顔を知られている。

管理人も彼の話をすんなり信じたのだろう。

「遥の婚約者になった覚えはないですけど?」

冷ややかな眼差しを向ければ、逆に遥にギロリと睨まれた。

「お前、自分の状況わかってる?職もなくて行く宛もない。俺に文句言える立場か?」

「友達のところに行くつもりだったわ!」

ギュッと拳を握り、声を荒げて反論する。

「友達のとこって言っても、どうせ一Kのアパートとかで、泊まる程度だろ?」

図星を指され、言葉に詰まった。

「それは……」
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