溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
「問題を先送りにしてるだけで何の解決にもなってない。住所不定でちゃんとした職に就けると思うなよ。グダグダ言わずにここに住め」

有無を言わせぬ眼光。

人の上に立つ者の目だ。

この人にとっては私と寝たことなんてどうでもいいことなんだろうな。

でも、私は違う。

自暴自棄になって寝た相手と一緒に住むなんて無理だ。

それを面と向かっては言えない。

どうすれば彼と同居せずに済む?

遥の言っていることは正しい。

彼を納得させて同居を思いとどませる理由……何かないの?

混乱する頭で必死に考える。

黙り込む私を見て、遥は私の弱点を突いてきた。

「お前が従わないなら、修也に連絡するしかないな」

遥はわざとらしく溜め息交じりの声で呟き、スマホをズボンのポケットから取り出した。
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