溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
実は本当にアイスティーだったりして……。

ストローが刺さっているし、カクテルだと言われてもいまいちピンと来ない。

これなら二ー三杯はいけそうな気がする。

カウンターの席が混んできてマスターは他のお客さんと話し込んでいる。

その方が気が楽でいい。

グラスの中の液体を眺め、ゴクゴクと一気に飲み干した。

こんなんじゃまだ足りない。

「すみません。お代わり下さい」

マスターに声をかけたら、またすぐにグラスが置かれた。

私を酔わせてよ。

じっとグラスを見つめる。

思い出すのは彼とのこと。

一年前、会社の親睦会の後、佐倉先輩に告白されて、付き合うことになった。

週末になると彼と映画や美術館に出かけて、食事をして……。

でも、今月は組織の改変の準備で忙しく、一緒に食事にも行けなかった。

彼よりも仕事を取ったから、こうなったの?
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