溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
「俺に絶対に惚れないこと」

「は?」

ポカンと口を開けて聞き返すと、彼は自分の魅力を見せつけるようにゆっくりと髪をかき上げフッと微笑する。

「まあ、お前なら俺に惚れることはないと思うが念のため。何せこの美貌だからな?一緒に住んで、俺にメロメロになられても困る」

多分、普通の女ならそれで瞬殺されるのだろうが、イケメンは兄で見慣れているため胸がキュンとなることはない。

逆に呆れてしまう。

どれだけ自信家なのよ!

「なるわけないでしょう。遥みたいな女ったらし、タイプじゃないわ」

冷ややかに否定するが、遥はどこか面白そうに目を光らせた。

「それは良かった。まあ許せ。いろいろと変な女に付きまとわれて俺も困ってるんだ」

それは嘘ではなく事実だろう。

でも、私に自慢すること?

反感を持たずにはいられない。

「それは、来るもの拒まずで手を出すからでしょう?」
< 63 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop