溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
「いえいえとんでもありません。心から同情してま……」

ふふっと笑いがこみ上げて来て、最後まで言えなかった。

「笑うな」

ツンと私の額を指で突く遥。

でも、本気で怒ってはいない。口元が緩んでいる。

そして、ハハッとふたりで大笑いした。

「もうすぐお昼だな。何食べたい?」

不意に遥が壁時計に目をやり、私の希望を聞く。

「病院でずっと流動食みたいなの食べてたから、味の濃いジャンクフードがいい」

味の薄い食事にはもううんざりだ。

期待を込めてお願いしたら、彼は少し考え込むような顔でオーケーしてくれた。

「ピザでも取るか。ストレス溜めるのもよくないしな」

「じゃあ、唐揚げとコーラもつけて」

嬉々とした顔で言うが、コンと頭を叩かれて却下された。

「調子に乗るな。お腹壊してまた入院になる」

「また子供扱いする」


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