溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
魚に触るの苦手なんだよね。

しかも、元気よく飛び跳ねている。

恐る恐る手を伸ばして魚を掴むと、当然だがその魚は手の中で暴れた。

ニュルッとしていて掴みにくい。

「針外すんだからじっとしてて」

慎重に針を左右に動かして、口から外してやる。

「あっ、私にも出来た!」

そう声を上げたら、パシャっとカメラの音がした。

「やれば出来るじゃん」

五メートル程離れた場所で遥がスマホを手にニコッと笑う。

大物を釣り上げたのか、彼の横に大きな魚が横たわっている。

針を外した魚を池に戻してやると、遥の元へ駆け寄った。
「すごく大きいね」

スマホで写真を取りながら、「こいつはちょっと手こずった」と遥がぼやく。

「私なら腕が持っていかれそう」

よくこんな重そうな魚をあんな細い竿で釣ったよね。

感心してしまう。
< 78 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop