溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
そう思うと胸の中がモヤモヤする。

楓がどれだけ浮気した彼氏のことを好きだったかわからない。

彼氏だけに見せる顔もあっただろう。

だが、今はそれほど未練はないのではないだろうか?

彼女が倒れた時に側にいた男が、ひょっとしたら彼氏なのではないかと思う。

そうだとしても、入院してから楓の寂しそうな顔は見ていないし、彼氏と連絡を取っている様子もない。

見舞いにも来た様子はないしな。

まだ続いているのなら、俺のとこから逃げて彼氏の元へ行くだろう。

俺と同居して彼氏と堂々と付き合える訳がない。

まあ、もう俺のだから何があっても渡さないが。

「うん!生き返った」

よほど気持ち良かったのか、嬉しそうに返事をする楓。

その顔を見ると、彼女が小さかった頃のことを思い出す。

小学生の頃は、『遥お兄ちゃん』って俺のことを呼んでいて、めちゃくちゃ可愛かった。
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