溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
「さあ?だが、ふたりじゃ食べきれないだろうな。明日も釣りしてみるか?」

そう提案したら乗ってきた。

「え?いいの?リベンジしたいって思ってたんだ」

「逃した魚、釣ってみろよ」

「うん。今度は二十匹目指す!」

拳を握って意気込む楓に、甘い取り決めをする。

「二十匹釣れたら、お前の大好きなイチゴのショートケーキ、ホールで買ってやるよ」

「その約束、忘れないでよ」

目を輝かせ俄然やる気になる楓にゆっくりと頷く。

「ああ」

『約束』と聞いて、楓と昨日交わした約束が脳裏に浮かんだ。

『俺に絶対に惚れないこと』と俺は言った。

彼女はどう思っただろう。

“絶対”なんてことあり得ないとも言ったし、多分悩んでいるだろうな。

それでいい。

今はまだこいつは俺に惚れていない。

意識はしているが、恋愛感情はないはず。
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