溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
それはもう私が小学生の頃からずっと。

「酒なんかたいして飲めないくせに、ひとりで飲んでるのが問題なんだ。そのカクテルで何杯目だ?」

まるで兄のような口をきくこの男にカチンとくる。

「あんたには関係ないでしょ!」

ムッとして言い返すが、遥は私を無視してマスターに目を向けた。

「ねえ、マスター、この子、これ何杯目?」

顔見知りなのか、マスターはにこやかに答える。

「二杯目だよ。ロングアイランドアイスティーをね」

聞いてすぐに険しい表情になる遥。

「……お前、それウォッカとかジンとか強い酒がいっぱい入ってるんだぞ。二杯も飲むなんて馬鹿か」

「煩いな。私はお酒を楽しんでいるの。あっちへ行ってよ」

よく見れば、彼はモデルのように綺麗な女の人を連れている。

私に構ってないでその人の相手をしなさいよ。


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