溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
もっと俺のことを考えて悩めばいい。

それが俺の狙いだ。

それから宿の食事を堪能すると、今度は違う大浴場に行き、マッサージで疲れた身体を癒してもらった。

ふたりで部屋に戻ると、もう寝床の準備が出来ていて、それを見た楓が固まった。

布団が二組並んで敷いてある。

車の中で俺は『襲わない』と言ったが、それでもいろいろ考えてしまうのだろう。

「隣に部屋があるんだから、ひと組移せばいいだろ?」

「あっ、そ、そうだね」

楓は強張った顔で返事をする。

動揺しまくりだな。

「そう言えば、以前ここに泊まった時、女将が言ってたんだ。どこかの部屋に座敷童が出るらしい」

彼女の気をそらそうと別の話題を持ち出した。

「え?」

お化けが苦手な楓はギョッとした顔になる。
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