わたしと専務のナイショの話
イチコロなハートマークが入れられません
土日は、従兄の送別会に行ったり、京平が家に来たりして過ごした。
夜、父、信雄と酒を呑んだ京平は機嫌が良く、
「俺はお前のお父さんの息子になるためにお前と出会ったんだな」
などと言い出した。
嫌です、そんな出会い……と思いながら、のぞみが、
「そういえば、専務。
お母様に、車をピカピカにして持ってきていただいてありがとうございましたって伝えてくださいました?」
と訊くと、
「お前が自分で言えよ。
それに、あの人が車をピカピカにしたわけじゃないからな。
あれはいつも命じるだけの人だ。
俺にも、いい成績を取れ、いい学校に入れ、父親の跡を継げ、といつも命じているだけだ」
と母親に対する文句を言ってくる。
その期待に、結局は、全部、応えているのがすごいが、と思いながら、のぞみは言った。
「でも、お母様、いい方ですよ。
美味しいお酒も奢ってくださいましたし」
「……お前、美味しいお酒を奢ってくれる人なら、誰でもいい人なんじゃないか?」
と京平は、少し不安を覚えたように言ってくる。
「酒蔵の若旦那とかについて行くなよ」