わたしと専務のナイショの話
「秘書ってのは、仕えてる人間のそういうことも把握しておかないと、いろいろとボロが出たら困るからな。

 例えば、常務を専務室に通したとき、専務はお前といちゃいちゃしてましたとか、洒落にならんだろうが。

 専務が新入社員に早速、目をつけて、手篭(てご)めにしてるとか敵につかまれたらまずいだろ?」

「いや……、手篭めにはされてません」

 なにっ? 付き合ってるんじゃないのかっ?
と祐人は言ってくる。

「付き合ってませ……

 あ~、よくわかりません」
とのぞみは白状する。

「私、恋愛とかしたことないし。
 誰とも付き合ったことないので、わからないです」

 今のこの状態がつきあっている、と言われる状態なのか、どうなのか、と思っていると、祐人が、

「お前はいちいち考え込んで出遅れそうだな」
と言ってきた。

「はあ、まあ、そうかもしれません……」

 メールの返信さえ上手くできない。

 高校生か、と自分で思っていると、
「お前も万美子くらい考えずに動いてみろよ」
と言われる。
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