わたしと専務のナイショの話
専務とわたしの隠しゴト
 



 水曜日、専務室から出ようとしたのぞみに、京平が言ってきた。

「樫山が早苗と四人で食事をしないかって言ってるが、どうだ?」

 ……なんか今、胸がちくっとしましたよ。

 足を止め、振り返ったまま、のぞみは思う。

 早苗さん。
 大学時代、みんなが狙っていたという美人ですよね?

 ……専務も狙っていたかもしれませんよね。

 少なくとも、樫山さんはそう疑っていたようですよ?

 再会させて大丈夫なのでしょうかね、と思いながらも、せっかく樫山が誘ってくれているのに、断るのも悪いかと思い、のぞみは了承した。

「失礼します」
と頭を下げ、出て行きながら、なんだかわからない不安でいっぱいだった――。





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