わたしと専務のナイショの話
「樫山さんが居なかったら、私たち、今、こんな結婚話なんて出ていません。
だから、樫山さんには、かっ、感謝してますっ。
……感謝……」
と言いかけ、のぞみは黙った。
いろいろと今までのことが走馬灯のように頭の中をよぎっているらしい。
「嘘ですっ」
といきなり叫んだのぞみを、
ええっ?
と樫山と早苗が見る。
「く、詳しくは話せませんが、樫山さんのおかげで、私、無理やり専務と結婚させられることになって――」
お前、詳しく話せませんがって、そんな言い方したら、ほぼ、しゃべったも同然だぞ、と京平は思っていたが。
不思議と腹は立たなかった。
本当はずっと自信がなかった。
教師を辞めて、会社に入ってから、ずっと。
これで本当によかったのだろうかとか。
自分はちゃんとできているのだろうかとか。
いつもそんなことばかり考えて、落ち着かなかった。
だから、樫山さんには、かっ、感謝してますっ。
……感謝……」
と言いかけ、のぞみは黙った。
いろいろと今までのことが走馬灯のように頭の中をよぎっているらしい。
「嘘ですっ」
といきなり叫んだのぞみを、
ええっ?
と樫山と早苗が見る。
「く、詳しくは話せませんが、樫山さんのおかげで、私、無理やり専務と結婚させられることになって――」
お前、詳しく話せませんがって、そんな言い方したら、ほぼ、しゃべったも同然だぞ、と京平は思っていたが。
不思議と腹は立たなかった。
本当はずっと自信がなかった。
教師を辞めて、会社に入ってから、ずっと。
これで本当によかったのだろうかとか。
自分はちゃんとできているのだろうかとか。
いつもそんなことばかり考えて、落ち着かなかった。