わたしと専務のナイショの話
「でも、どんな苦しかったことも辛かったことも、全部、お前と会うためにあったことだと思うと、許せる気がするよ。

 これから、俺の人生にたちはだかるだろう壁とかもな。

 常務とか、常務とか、常務とか」

 いや、貴方、普段、どんだけ常務にやられてるんですか……と思ったとき、

「そういえば、さっき、返事聞いてなかったな。

 坂下……」
と言いかけ、京平はやめた。

 のぞみの手を握り、言ってくる。

「槙のぞみ。
 俺と結婚してくれ」

 だから、してますよ、もう、と思いながらも、

「……はい」
と言って、のぞみは笑った。

 そのまま京平がキスしてくる。

 車の外から、

「あーっ。
 だから、せんせーっ。

 学校でなにやってんのーっ」
と叫ぶ丸田の声が聞こえてきた。

 離れた京平と顔を見合わせ、笑う。
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