わたしと専務のナイショの話
 いやいや、イケメン様とお食事とか、緊張して食べられないから、と目で訴え返してはみたのだが、通じたかどうかはわからない。

 そもそも、イケメンとの食事で緊張している奴が、豚骨ラーメンを食うな、と突っ込んでこられそうだ。

 だが、仕事中は隙のない感じの祐人だが、休み時間は意外と話しやすかった。

 まあ、整ったその顔で間近に見つめられた瞬間は、緊張すること、この上ないのだが。

「で、なんで専務との関係を言ったら殺される?」
と祐人はさっきの話を掘り返してきた。

「前に、役員行きつけの店のホステスが派遣社員でやってきたことがあって。
 そのときは、その話はタブーになってはいたが」

「そんなことがあるんですか……」

「いや、子育てしながら、仕事もきちんとやる立派なシングルマザーだったんだけどな。

 でも、お前に関しては、そういうのじゃなさそうだな。

 お前は、幾ら顔が綺麗でも、キャバクラとかでは働けないよな」
と祐人は何故か冷ややかに見て言ってくる。
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