世界で一番優しい嘘〜短編集〜

赤い糸


転校して来たのは、なんとも可愛らしい女の子だった。

どこか、カオルくんに少し似ている感じがした。

色素の薄い、茶色に近くて、金髪にも近い髪色。

カオル君は黒だけど、なぜか少し似ている。

どこが似てると思ったんだろう。

可愛らしい女の子だったので、私のクラスはザワザワとざわつき始める。

「はいはい、静かにしてほしいわぁ」

そんなクラスをカレン先生は止める。

「は〜い、自己紹介して欲しいわぁ」

「あ、はい!」

すると、可愛らしい女の子は黒板に名前を書き始める。

・・・え?

ーーーーみず、さわ?

「水沢 明果(みずさわあすか)です!

好きな食べ物はパルム!板チョコレートです。

よろしくお願いします」

「明果・・・?」

カオル君がそう呟いた声が確かに聞こえた。

・・・知り合い・・・?

「カオルくん?

知り合いなの・・・?水沢さんと・・・」

「・・・え

いや、僕の幼馴染の名前と全く一緒だったから、少し動揺してしまっただけだよ

気にしないで」

気になるよ、とは言えなかった。

私は少なくとも、カオル君の中でも少しは特別だとおもっていたから。

カオルくんはほかのクラスメイトとは話さないのに、私にははなしかけてくれるから。

一緒に、美術館に行ったこともあった。

なんどか一緒にお茶もした。

・・・なんだろう。

急に、カオルくんが遠いーーー。

「あー!

カオル!?覚えてる!?アスカだよ!」

「・・・やっぱり、アスカ?」

「カオル〜っ!

パパもカオルに会いたがってたよ!」

「あ、本当?

近々行こうと思ってたんだけど」

久しぶりに会った2人は、話がはずんでいた。

とても私の入れるすきなんてなくて。

私は、カオルくんの、何、だろう。

そんなことを考えいた。
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