世界で一番優しい嘘〜短編集〜
事実
*❀٭
「おっかえり〜!
美嘉〜、あんたに話すことがあるんだけど」
「あ、はい、なんですか?」
こっちに来てとアイさんが言ったので、私はリビングに行く。
するとそこには、久しぶりに見たアイさんの夫、水沢院長と、色素の薄い、髪の女の子ーーー。
「みず、さわ、さん?」
「ほぇ?
あ、あなた、カオルと仲良かった子?」
「えと、あ、はい・・・?」
するとその子の目つきは一瞬で変わる。
「へぇ、明果がいないあいだにカオルを誑かしたのはあんただったんだぁ?」
「明果!やめなさい!」
挑発を止める、水沢院長。
私はただ立ち尽くす。
「すまないね、明果は私とアイの娘なんだ。
こんな子だが仲良くしてあげて欲しい」
「明果ー、あんたまだ夕月くんから離れてなかったの?
もー、あんた急に寮嫌だとか言って帰ってくるからびっくりしたわよ」
この子が、アイさんの娘ーーー。
「こちらこそ・・・よろしくお願いします」
「カオルは返してもらうから
明果のものなんだから」
「明果っ!」
「パパうるさいーっ」
「明果!お前が悪いんだろう!」
「いーやーっ」
これじゃ、カオルくんとは当分話せない。
ミサトにまた話聞いてもらおう・・・。